営業二課の田島君と上野さん – ゑひもせす②
「というわけで、今週から正式に田島君が営業二課に配属だ。よろしくな、諸君」
「ご指導、よろしくお願いいたします」
(パチパチパチ)
「(ほんとに来ちゃったよ……、まさか、私と組むなんてことはないだろうけど)」
「上野ちょっと。
お前バッテリー残量厳しいって言ってたろ、出掛ける前に総務行って新しいのもらってこい。ついでに、ここからここまでのやつも一緒に」
「あ、はい。行ってきます」
(ぱたぱたぱた……)
「あー上野さん来た、ちょうどよかった! これとこの箱、営業二課への荷物だから一緒に持ってってくれる?」
「わかりました、台車お借りしますね」
「うん、返す時はついででいいからー」
(がらがらがら……)
「上野戻りましたー。課長、荷物です」
「おう、配っといて」
「……はいっ、えーと……こっち大隈さんで……、これは……
あ」
「……? 何かご用ですか」
「これ。田島君宛」
「ああ。ありがとうございます(かぱっ)」
「(これ──ポータブルの……リミッターだ。危険な能力の持ち主が、腕時計みたいにはめて使うやつ)」
「…………。
今日は挨拶回りだからここで待ってろ、って言われたんですが」
「?」
「まさか、あなたが案内してくれるんですか?」
「……はぁっ? 冗談やめて」
「……ふふ。わかってますよ。指導役は大隈さんって聞いてますし」
「(……からかわれた……!)」
「すまん、待たせたな田島。ん、上野どした?」
「なんでも! ありませんっ!!」
「……?」
「さて、田島。移動中の時間でざっとおさらいだ。一応聞いてるとは思うが」
「はい」
「俺たち営業部でも、一課は主に政府や行政機関との調整を請け負ってる。二課はそれ以外の、民間との連携であるとか、そういった細かいやりとりだ」
「はい。あとは、警備部を動かすまでもない、突発的だったり些細な事案の対処でしたよね」
「そうだ。場合にもよるが、能力者の路上暴走行為とか、驚異と判断するか微妙な動物型や、人型だが話が通じないやつの初期対応とかな。
しばらくは俺と二人で関係先を挨拶回りすることになると思うが、指令があればそっちにも対応する」
「はい」
「──課長からあらましは聞いているだろうが、俺の能力はBクラスの予知だ。精度は近い未来であるほど高くなり、自分の身の周りに関することなら更に上がる。戦略的にはほとんど無意味だが、俺はそれを肉弾での実戦に使ってる」
「──はい」
「任務中に、周囲のことまでつぶさに観察して、逐一判断を下してられる状況じゃねえ、ってことだ。
だから田島、そいつはお前が自分で使え」
「え! ちょっ、」
「ああ。……お前のデータは、越前に回して貰った。事情も差し支えない範囲で聞いてる。
お前みたいな奴は、うちにいる限り進んで足を踏み外したりはせんだろ」
「いいんですか──」
「お前は間違いを起こさない。俺にまつわる限りではそれはほぼ、確定事項だ。
予知能力者、舐めんなよ」