上野さんと田島君 – ゑひもせす①
「おう田島。──週末は悪かったな、上野送ってくれたんだって? 珍しく俺、記憶が飛んじまってよ。そんなに呑んだつもりないんだが、お前らに付き合ってたからかな?」
「いえ、まぁ、自分も結構酔ってたんですけど、寮が一緒なもんで。同じタクシーに押し込んだだけで、着いたらなんとかなったみたいですよ」
「そうか。男みたいに呑むもんなぁ、あいつ」
「……みたいですね」
「え、田島って上野さんと寮一緒なの? 初耳ー」
「まぁほとんど顔合わせないですけどね。会社の女子と一緒でみたいな話で想像してるようなネタ、一切ないですよ」
「わはは、まぁ、上野だしなー。話は妙に盛り上がるんだけど」
「わかる、いい奴なんだけど、タイプとか以前に女感じないっすよね。でも飲みの時とか話は盛り上がるよなー」
「そうそう、飲みの時、あと移動中」
「(目の前30センチでのみ効果を及ぼす能力、か。そして、離れてしまえばその間の酔いは、残らない)」
「仕事でも結構無鉄砲に飛びだしてくかんなー。もし組むことがあったら気をつけて見てやってよ」
「……はぁ。多分ないと思いますけど。
(そもそも彼女はこちらを寄せ付けないし、近づいて眩惑されるのも真っ平だ。──でも親父さんにはバリバリに警戒されてるし。……まぁ、こちらの経歴を知っているから当然なんだろうが、──踏んだり蹴ったりとはこのことだ)」
「どした、田島?」
「いえ、何でも」
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