Witch With Wit-*

E賞 Conhouten’s version

ぱにょくじコンホーテン夫人の冒険をお楽しみいただきありがとうございます!
こちらはE賞の「コンホーテン一家版」のショートストーリーです。


 なんだい、この箱は?
──劇場版のプロモーションとして、僕たちにインタビューをしたいそうなんです。
 へえ……この中の紙を引いて、その質問に答える……と。くじみたいで楽しそうじゃないか。
 いいよ、じゃああたしからだね。
 何々……「朝はパン派? ライス派? ヌードル派?」
 パンさね、もちろん。なんでかって? 濃いめに入れたココアにもぴったりだよ。一日の始まりはそれじゃあなくっちゃね。
 じゃ、次はカスパル、お前が引きな。

 では謹んで……。「もう一度行きたい場所は?」ふむ。
 ニホンですよね、やっぱり。まだ観光したい場所はありますし……なんと言っても、事件抜きで!
──それは難しいんじゃないかなあ、夫人がいらっしゃる限りは……。
 うすうす思っていたことを言葉にしないでください! というか、おばあ様抜きで旅行という手もあるじゃないですか……微妙な顔しない! あなたも巻き込まれ率で言えば似たり寄ったりでしょうに。
 まあいいです。ではそのまま、リプトン教授、どうぞ。

 どれどれ……「一番の思い出は?」
 おっ、それを聞くんですか? 夜が明けるまで語ってもいいんですね?
──うきうきしないでください、先生。皆さんが引いてます。
──ていうかおばあ様との思い出のお話ですよね、十中八九、っていうか絶対。サンキスト君は……いつもこれを……?
──ええまあ……というかご本人のお孫さんにまで把握されてるってどうなんですかね……。
 ええい、まだ何も言ってないのに決めつけて残念な空気を蔓延させない! 
……まあいいです、私の宝物たる思い出を語るには紙幅も足りないでしょうしね。サンキスト君、君も引きたまえ。

 え、僕もですか。では……「日本の文化で気に入ったものは?」
 断然、フロですね。今回は教授のお供でしたので、ホテルもやや贅沢をさせていただいたのですが……あの大きな浴場はやみつきになりますね。
──分かる気がいたします。
 あ、メイドさんもですか? ボストンにもほしいですよね、気軽に入れるああいう施設……。
──おばあ様の前でそういう話をすると、コンホーテン屋敷にしれっと増設されていそうで怖いですね……。
 ははは、では次、メイドさんどうぞ。

 私ですか。失礼いたします。……「今欲しいものは?」
 そうですね……エプロンでしょうか。いえ、今のものに不満があるというわけではないのですが……実は、ニホンのモールでとてもかわいらしいものを見つけまして。
──なんだい、買ってくればよかったじゃないか。
 はい、大変迷ったのですが……ニューヨークにも支店があるということだったので、ご縁があったときでいいかと思ってしまって。
──じゃあ、次にニューヨークに用があるときにはミルクを伴うことにしようかね。
 ! ありがとうございます、奥様。
 ……ええと、では、次の方は……。ムギコ様、お願いいたします。

 あたしかい? どれどれ……よいしょと。「映画は好きですか?」
 ふむ。好きだよ、人並みにはね。
──ムギコは映画もそうだが、ドラマもかなり見ているんだったね。
 ああ、そうだね。最近はネットの配信でシリーズものの海外ドラマを見るのが面白くってね……。
 映画も配信されてるだろ、新作を劇場で見る醍醐味も格別だけど、店番がてら旧作を流し見するのもなかなかおつなもんだよね。
 ジャンルは……そうだね、大人と子供が連れ立って旅をするような話なんて好きだね。
 そんなところか。じゃあ次は伊右衛門、あんたどうぞ。

 俺にも回ってくるのか? 特に面白いことは言えないが……。
「弱点はなんですか?」 ……弱点? 俺のということか? そうだよな。
 ええと……何も思いつかんが……、ああ、こんにゃくが斬れない
 ……。
 …………。
 ……悪かった。忘れてくれ。冗談だ。
 ……っ、次のやつだ。そこのあんた、ええと、午後ティーとか言ったか?

 あら、ありがとうございます。それでは、午後ティー姉妹を代表しまして、
わたくしストレートが引きますわ。
 ええと……「今やりたいことは?」ですの。
 そうですわね、バカンスかしら。このところまとまった休暇がなくって……。
 大阪もお仕事の一環でしたものね。まあ、お陰様で楽しい経験をさせていただけたのですけれど。
──その節は、お疲れ様でした。
 いえいえ。では、椿さんとおっしゃいましたわね。お次、お願いいたしますわ。

 はい、ではこれにしますか。「影響を受けた人はいますか?」
 いますね。ばあ様です、祖母です、実の。健在ですよ。
──へえ、まだ会ったことがないな。
 何が悲しくてお前に家族を会わせにゃならんのだ……。いや、ええと、こほん。
 なかなか愉快な祖母でしてね。星野はともかく、いつか夫人にご紹介する機会があれば楽しかろうな、と思ってますよ。
 じゃ、次、お前だな。

 はい、オレですね。星野です。
「色気派ですか、食い気派ですか?」……何じゃこの質問。
 ……まあ、この二つなら、敢えて言うなら食い気なのかな……。一応、表の稼業では飲食業を営んでいたりもしますしね。
──実際のところは『血の気』だがな。
 はーいそこ、身も蓋もないこと言わない。っていうかブーメランじゃないの。
──それ言っちゃったら今いるメンバーの半分くらいは巻き込まれますね……。
 ほんと、でっかいブーメランだよね。
 ……おっと、まだ一枚残ってるな。引いてない人いない? じゃあ、ババア、トリどうぞ。

 はいよ。「今一番信じているものは?」
 そりゃ、自分だね。
 何事も自分が定まらなきゃどうにもならないよ。逆に、それさえしっかりしときゃ、なんとかなるもんさ。
 ま、ここにいる面々はちょっと余計なくらいしっかりしているようだが……。
 ともあれ、こんなところまで読んでくれてありがとうよ。
 あたしたちの活躍を今後とも楽しみにしといておくれ!