『花よ、私と踊りましょう』完結です。
シリーズ一覧をご覧になって頂くとわかるタイトル芸ですが、後半は水中花がホワイトアウトしていくと見せかけて、実は途中からお花畑になっていく、という仕掛けでした。
第十章で100%表示されている画像は、リナリアの花畑です。フォトACさんありがとう。
さて、この話が終わった後それぞれのキャラはどうなったのか、私以外の方のプレイヤーキャラクターについては無粋なので申し上げませんが、機会があったらセルウィン方面は別の作品をお目に掛けることがあるかもしれません。
今回はそちらではなく、リージャの、しかも概念上のお話。
二つ下の記事で言っていた彼の二つの課題。『誰かに必要として欲しい』というのは、このお話をもってひとつの決着をみました。彼が本当に、全力で満たされたと思う相手はこれからも探していくのだろうけれど、でも、それを探し求めることにリージャはもう、後ろ向きにはならない。
……もし、見つからなかったとしても、彼は荒野の塔に一人住む偏屈な老賢者ではなく、アレクラストに災害が起きた時、人々を助けに奔走する使徒であるだろう。
そんなビジョンを得ています。
そしてもう一つの課題、『リージャが、姉弟子が誰かを信頼し必要としている姿を見たいという気持ち』──誰かを探し求めることに前向きになった彼ならば、姉弟子の相手に立候補することもあり得るのでは? という思考実験がここで生まれます。
はんなりと、姉の向ける刃先を受け止めながら、絶対に傷つかないし喪われないとそこに在り続ける男。
いやそれはそれで非常に美味しいのですけれども、それは『アレクラストの彼ら』ではないな、と思いました。もっとぶっちゃけちゃうと、そこには『TRPGのPCならではの自由意志』が薄いように思えたのですね。
じゃあ、どこかの異世界ならどうだろう? 西洋風で、ちょっと暗くて、同じ師匠に引き合わされ、師匠がよそに赴任した後ふたりである村を守っている魔女とその助手……魔女はとても理解されがたく、助手は社会の中で人に信頼される地位を得ているが、それはとても危ういもの。
システム的な縁での結びつきは保証されていて、たとえば魔女は性的に助手を翻弄しているけれども、精神的に受け止めて貰えるとは思っていない。
助手は魔女に愛情を抱いているけれども、それが伝わるとは思っていない。そんなふたり。──腐れ縁か。ならついでに私の萌えの幼馴染みとか義きょうだいも足したれ。
……はい、6月のピクログにupした『Caprice Origin』ですね。
ここにきて、私の『勇者ネーム』だった魔女が、また新しい名を得て、初めて多くの人に触れる物語の主人公となったのでした。
結局ヘザーさんは前にも書いた通り作品が始まった瞬間にまったく別のパーソナリティを得たのですが、アルヴィンが薬学を修めていたり黒髪だったりするのはリージャから半分貰ってます(残り半分はもっと前からいたオリジナルキャラの元祖からもらってきた)。
さすがにTRPGで実際に現在進行形で使っているPCからエロい話考えました、と申し上げるのは差し支えしかないので本日初めて明らかにした情報ですが、古い付き合いの人にはバレていたような気がしないでもない……。(笑)
まぁそんなわけで、『花』と『Caprice』が裏表のようなテーマ性を持っていた(個人と社会のかかわりか、あるいは個人と個人の向き合い方か、という)理由がこれでした。
どちらかをお好きだという方にも、もう片方がお気に召せば幸いです。